• コラム

鳥でも牛でもなく「豚」について

豚肉は淡紅色で肉質が柔らかく、脂肪が肉と層状になっている。牛肉や鶏(とり)肉に比べ一般に脂肪が多いと思われているが、近年は嗜好(しこう)の変化から脂肪の少ない品種に改良され、ヒレ、もも肉など部位を選べば、むしろ他の肉より脂肪は少ない。豚肉の脂肪は融点が低いので、口中で滑らかな感触がある。脂肪層が白くて餅(もち)状のものがよい豚肉である。部位は通常、かた肉、かたロース、ロース、ばら肉(三枚肉ともいう)、ヒレ、もも、そとももに区分される。ヒレはもっとも柔らかい部分で、脂肪も少ない。ばら肉は脂肪がもっとも多く、ベーコンに加工される部分である。中国、沖縄など豚肉の利用の多い所では、以上の肉のほかにあらゆる部分が利用される。あばら骨(スペアリブともいう)、足、頭、皮、耳、鼻、内臓、血液などいろいろに特有な料理にされる。脂肪、タンパク質のよい給源で、ビタミンでは牛肉や鶏肉に比べB1が多い。とくにヒレ、もも肉など脂肪の少ない部位にビタミンB1が多く、牛肉や鶏肉の約10倍含まれる。脂肪は牛肉に比べ、リノール酸が多いのが特徴。[コトバンクより]

また、一般に「種豚」と呼ばれている豚は、「肉豚」を生産するために飼養されている豚のことで、その種豚を生産するための基礎となる種豚を「原種豚」、さらにその原種豚を改良するための種豚を「原々種豚」と呼んでおり、一般的には雑種化された種豚を利用して肉豚を生産します。それは雑種強勢によって繁殖性や強健性が向上し、純粋種よりも飼いやすくなるためです。その種豚を生産するための原種豚、さらに改良、維持するための原々種豚は純粋種として系統を維持するとともに、繁殖性、強健性、産肉性だけでなく、あらゆる角度から改良を行い、優れた系統を選抜し、作られています。肉豚とは、その名の通り、お肉になる運命の豚を総称してこう呼びます。それに対し、種豚は肉豚を生産する雄豚と母豚を指します。種豚は純粋種が主流なのに対し、肉豚はほとんどが雑種になります。これは、純粋種よりも雑種の方が発育や病気に対する抵抗性が優れているからです。日本の場合、ランドレース、大ヨークシャー、デュロックの雑種がほとんどです。
もう少し、詳しく説明するとランドレースの母豚に大ヨークシャーの雄豚を交配します。この二品種から生産された豚のうち、雌豚を母豚とし、さらにデュロックを交配させます。ここから生まれた豚がいわゆる肉豚なのです。肉豚に生まれた豚は約半年で110kgになり、お肉として出荷されます。

[SAIBOKUより]

豚の品種について

「中ヨークシャー」

原産国・・・イギリスヨークシャー州

特徴・・・・中型で、全体におおむね長方形。顔は短く、顔面はしゃくれている。色は白。飼養頭数が少なくなっているが、肉質の優れた品種である。

「大ヨークシャー」

原産国・・・イギリスヨークシャー州

特徴・・・・大型で、体積に富み、全体におおむね長方形。顔は長めで、顔面はわずかにしゃくれている。色は白。主要な雌系品種として飼養頭数も多い。

「バークシャー」

原産国・・・イギリスバークシャー州

特徴・・・・中型で、全体におおむね長方形。顔は長めで、顔面はわずかにしゃくれている。色は黒で、眉間、四肢端及び尾端が白。いわゆる黒豚として肉質の良さが特徴。

「ランドレース」

原産国・・・デンマーク

特徴・・・・大型で、体に伸びがあり、全体におおむね流線形。顔は長く、鼻はまっすぐ。色は白。主要な雌系品種として飼養頭数も多い。

「ハンプシャー」

原産国・・・アメリカ

特徴・・・・大型に近く、全体におおむね弓状。顔は長めで、あごがよく発達している。色は黒で、肩、胸及び前肢に続く白帯(サドルマーク)がある。赤肉割合いが高く、雄系品種として利用されるが、飼養頭数は少ない。

「デュロック」

原産国・・・アメリカ

特徴・・・・大型に近く、全体におおむね弓状。顔は長めで、顔面はわずかにしゃくれ、色は褐色。主要な雄系品種として飼養頭数も多い。

[日本養豚協会より]

SPF豚とは?

SPFとは Specific(特定の) Pathogen(病原体) Free(無い)の略で、あらかじめ指定された病原体を持っていないという意味です。わが国でSPF養豚が開始されてから、半世紀が経ちました。そもそもSPF養豚は、豚の慢性疾病を排除し、健康な豚を飼育することによって経営を安定させることを目的に開発されたものです。日本SPF豚協会が定めている病原体も養豚の生産性を阻害するもので、豚を健康に育てるために排除すべきものです。その中で、SPF養豚では単に生産性改善のみならず、そこで生産される豚肉が風味豊かで保水性に富み、豚肉独特の臭みがないため、豚肉が嫌いだった人にも喜んで食べてもらえることがわかってきたのです。

[日本SPF豚協会より]

もち豚とは?

豚肉の脂肪は、やわらかいもの、普通、かたいものに分けられる。かたくてよくしまったものが豚と呼ばれ、良質とされている。脂肪が白く、かたく締まっていて、餅のように切りにくいことから呼ばれるようになった。

[日本食肉消費総合センターより]

三元豚とは?

三元豚は、3種類の品種(純粋種)を交配した豚のことを言います。

「三元交配豚」とも呼ばれ、日本国内で販売されている豚肉の大部分は三元豚である。多くは、ランドレース種(L)、大ヨークシャー(W)、デュロック(D)、のL×W×D3種が交配されている。

四元豚とは?

四元豚は、4種類の品種を交配した豚のことを言います。

上記3種類に加え、チェスターホワイト種(CW)というチェスター地方原産の豚が交配されており、LWD×CW4種の交配となる。

特徴としては、三元豚よりも肉質が良くて臭みがないこと。

 

どちらも、交配させている理由としてはそれぞれの長所(特徴)を生かし、良質な豚肉を安定的に供給するために行っており、「雑種強勢」と言われています。

 

豚肉の魅力

豚肉はビタミンB群を豊富に含み、その中でもビタミンB1に関しては100gあたりの含有量があらゆる食品の中でトップクラスです。鶏肉や牛肉などの他の肉類と比べても、510倍のビタミンB1を含んでいるといわれます。ビタミンB1は、ご飯やパンなどの糖質を体内で燃やしエネルギーへ変えるために必要な栄養素です。ビタミンB群は疲労回復のビタミンと呼ばれることもあり、筋肉に乳酸が溜まるのを防いでくれるため、疲れやすい方やスポーツなど活動量が多い方は、より意識して摂取する必要があります。

脂肪は、脂溶性ビタミンであるビタミンA DEなどの吸収を助ける、体のエネルギーになる、細胞膜やホルモンの構造を作る、内臓を守るクッションとなるといった、生命活動を支える重要な栄養素です。脂肪の構成要素である脂肪酸は、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に大別されます。健康な体づくりのためには、飽和脂肪酸も不飽和脂肪酸もバランス良く摂取することが重要なのです。豚肉の脂肪には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の両方が含まれています。

植物性の油も動物性脂肪も、エネルギーは同じです。食べ過ぎも、全く摂らないのも生命活動をうまく維持できません。

飽和脂肪酸:肉や乳製品などの動物性脂に多く含まれる。溶ける温度が高く、バターやラードなど常温で固まる性質を持つ。加熱しても酸化しにくい。

不飽和脂肪酸:植物(アマニ、菜種油など)や魚(EPADHAなど)の脂に多く含まれる。低い温度でも溶け、1020℃程度の室温でも固まらない性質を持つ。飽和脂肪酸に比べて酸化しやすい。

豚肉豆知識

健康な体を作りや維持する上で適切な豚肉摂取量の目安は、1日あたり6080gほどです。食事を食べる順番として、「野菜を最初に食べると良い」という話をよく耳にしますが、白米(糖質)を最初に食べることで血糖値が上昇するのを防ぐのが目的です。したがって、豚肉などのお肉(タンパク質)を一番に食べても健康面で問題はありません。欠食(朝・昼・夕食を抜いた)後の食事は、特に血糖値が上がりやすくなりますので、野菜やお肉から食べ始めることを意識しておくと良いです。

1.美肌づくり

肌の材料はタンパク質であることから、美肌づくりのために豚肉などのお肉は不可欠です。ピーマン、ブロッコリー、キウイ、レモンなどに多く含まれるビタミンCが多く含まれており、ビタミンCと豚肉を組み合わせることでさらに美肌効果が高まります。

2.筋力アップ

動物性と植物性、両方のタンパク質とビタミンC、鉄分を摂取しましょう。豆腐と豚ひき肉を混ぜてハンバーグや、肉団子にすることで、動物性と植物性のタンパク質を一度に摂ることができ、鉄分に関しては、ほうれん草などの野菜に比べて吸収率が高いお肉で摂取するのがより効率的です。

3.疲労回復

豚肉自体がビタミンB群を豊富に含む、疲労回復にはぴったりな食材ですが、アリシンやクエン酸を一緒に摂ることでエネルギー代謝がアップします。にんにく、玉葱、ニラ、ねぎに多く含まれるアリシンは、ビタミンB1の吸収率を高める働きを持っており、豚肉と組み合わせることでより効果が高まります。また、お酢や梅干しに多く含まれるクエン酸は、筋肉の中に溜まった乳酸の除去を促進する働きを持っています。

[ハイライフポークより]